<< [ポケモンBW]「これって なあに?」全10話(たぶん) | main | 今年のクリスマスケーキは…… >>

ポケモンBW感想

 遅くなりました。
 早く書きたい書きたいと思いながら、発売から2ヶ月経ってしまいました。

 長文です。
 シナリオのネタバレがあるので未クリアの方は注意。


 ポケモンブラック・ホワイトは、人間とポケモンの関係を根本から問い直すストーリーでした。
 人間とポケモンの支配─被支配の関係は、ポケットモンスターの世界が根源的に抱える問題点です。
 「ポケモン」が「ポケモン」である以上、どうしようもない問題であると思います。

 野生で暮らしているポケモンを人間の都合で拉致し、モンスターボールに閉じ込めて、命令して扱き使い、戦わせ傷付ける。
 ポケモンは人間の奴隷扱いされている、だから解放するのが正義だ。

 これがプラズマ団の主張ですが、以前からポケモン世界の悪い点として指摘されていたことです。

 どう見ても「正しい」この理屈を、ゲーム中でどうひっくり返してくるのだろうか……
 発売前情報を見ながら、この難題をどう処理するのか、大変楽しみにしておりました。


 ゲーム中で提示された答えは……
 「主人公のポケモンは主人公に従うことを喜んでいる」

 え?(゜Д゜;)

 何その安易な結論。
 合意の上だから問題なし?
 なんだか犯罪者の言い訳みたいですね。

 いや、序盤のN初登場の時点で、そんな予感はしましたが……
 ストーリーが進んでいくごとに、主人公のポケモンは特に嬉しそうだとか、主人公とポケモンとの絆は特別だとか、ぶっちゃけ冷めました。ええ冷めましたとも。


 ところで、「ストックホルム症候群」というものがあります。
 人質が犯人に好意を持ってしまうというアレですね。(詳しくはWikipedia辺り見ていただければ)

 問答無用で捕まえられ、何をされるかわからない……不安でいっぱいのポケモン。
 ところが、人間が思いの外優しかった。
 となれば、ポケモンが人間に信頼を寄せるようになるのは当たり前のことのように思えます。
 いつしか、この人に捕まってよかった、野生のままでいるよりも『幸せ』だとさえ思うようになっていきます。
 いわば人間による洗脳のようなものですね。
 こうやって無理矢理植え付けた好意でもって、合意とか何とか言っちゃうのはいかがなものかと思うのですが。


 ……では。
 プラズマ団が主張するように、野生から引き離されたポケモンをそのまま野生に返して、果たして彼らは幸せに生きていけるのか?

 以下、ポケモンとは直接関係ないかもしれない、ペット論的な内容になりますが。

 ペットを捨てるのはペットのためになるのか?
 動物園の動物を野に放つのは、動物たちのためになるのか?

 NO。
 人間に飼い慣らされた動物たちは、そのままでは野生に帰れません。

 ペットは最期まで責任を持って飼いましょう、と言われます。
 では飼い主の「責任」とは何なのか?

 私は、最期まで『幸せ』を与えることだと考えます。『幸せ』な夢を見させて、覚まさせないことです。
 その『幸せ』がハリボテであったとしても、それをハリボテだとは教えず、本物の幸せと思い込ませることです。
 それが、人間の勝手な都合で一方的に人間社会に引きずり込んだ「責任」だと私は思います。

 ですから、育て屋で大量にタマゴ繁殖→逃がすという行動には抵抗を感じます。
 感じながらもするんですけどね……(汗)
 逃がさなきゃボックスがあっという間にふさがってしまいますから。
 このときばかりは、所詮データだから……と自分に言い聞かせながら、淡々と作業としてやってます。


 ところで、プラズマ団はあまりにもクズですね。
 ゲーチスなんて今までのポケモンになかったレベルの極悪人です。

 ポケモンは基本子供向けなので勧善懲悪でなければならず、こういう擁護のしようのない悪を持ってこなければならなかったんだろうなぁ……
 主人公=プレイヤーの分身である以上、主人公が別の「正義」を力ずくで叩き潰すストーリーにはできませんからねぇ。

 しかし、重要なテーマなのに、こんな料理法は非常にもったいない。

 そこで、ドクズの絶対悪ゲーチスの他にもう一人、自分の信じる「正義」に一切の疑いを持たない、ピュアでイノセントなNというキャラクターが用意されたのだと思います。
 Nとは敵対しますが、「悪」ではありません。Nは間違いなく「正義」です。

 ここに開発者の苦悩が垣間見えた気がしました。

 Nは「正義」、主人公はNとは異なる「正義」。
 この2人を直接対決させてはっきり優劣を付けてしまうと教育上の問題があり、「正義の反対はまた別の正義だ」をガチでやってしまうとドロドロしすぎて子供向けにふさわしくない。
 そこで、真の敵はゲーチス、とやるのです。
 
 ここにしか落としどころが見付からなかったのだろう……と思います。


 ポケモンBWが提起した問題。
 表面しか見なければ、単に「合意の上だからおk」で終わってしまいます。
 このお話をより深く捉えるのはプレイヤー自身です。

 人の数だけ正義があります。
 プラズマ団の主張にも一理あります。
 その点がストーリーの中でことあるごとに強調されます。
 ゲーム中には描けなかったことをプレイヤー一人ひとりに考えてもらいたい……ゲーム開発者からのメッセージが込められていると、私は思います。

 貴方が信じる正義は、何ですか?



 最後に。

 『違う考えの人間がいるから争いがある』
 『違う考えの人間がいるから世界は広がる』

 どちらも正しい。どちらも、正しい。
 前者を否定しないゲームは珍しいと思いました。
 (いや珍しいとか珍しくないとか判断できるほどたくさんゲームやってるわけじゃないですけどね)
| ポケモン | 16:58 | comments(2) | trackbacks(0) |

スポンサーサイト

| - | 16:58 | - | - |

コメント

なんかこのままテストに出てきそうな文面ですねw

今までの「チャンピオンを倒す」という暗黙の了解を得たゴール地点を目指すのではなく、ちゃんとした理由があってポケモンリーグへ向かうというのが今までとの一番の差別化であり、最高傑作と名乗るシナリオにふさわしいものでした。


さて、これを超えるシナリオは一体どんなものだろう・・・
マイナーチェンジにも期待です!
| 音玖 | 2010/11/19 22:13 |
旧作では打倒チャンピオンってストーリー的にちょっと無理があるんですよねぇ。
元々の目的は「ポケモン図鑑を完成させる」なのに、途中から「ジムバッジを集めてリーグ制覇する」に目的が摩り替わっちゃうんですよね。
初代の白黒赤緑のときなんか、強くなる気はないから別にジムバッジ集めなくてもいいやと思ってましたから。(実際はバッジ取らないとストーリーが進まない罠)
BWでも序盤のバッジは街から出るために無理矢理取らされる感がありますが、リーグに向かう動機付けはバッチリです。
「クリア」と「殿堂入り」が切り離されていたのもちょっとした驚きでした。

マイナーチェンジ版出るのかなぁ。
ポケウォーカー対応になると嬉しいなぁ(あり得ないけど)
ポケウォーカーでサザンドラ連れて行きたいなぁ……
| sera | 2010/11/21 18:54 |

コメントする










※半角英数のみのコメントは拒否されます。
※emailは無記入推奨。

トラックバック

この記事のトラックバックURL

http://srl.jugem.jp/trackback/620

※言及リンク必須。
 記事へのリンクのないトラックバックは受け付けません。